【災害時の口腔ケア】水や電気がなくても歯科治療!「歯科巡回診療車」から学ぶ防災とお口の健康

 イラストこんにちは。大垣市のおおた歯科クリニック院長、歯科医師の太田雅司です。

大きな地震や豪雨などの災害が発生すると、電気や水道などのライフラインが止まり、普段通りに歯科医院を受診できなくなることがあります。

そんな災害時の歯科医療を支える取り組みとして注目されているのが、「歯科巡回診療車」です。

能登半島地震をきっかけに石川県歯科医師会が導入した歯科巡回診療車が、地震の被害を受けた熊本県へ派遣されることになりました。

今回はこのニュースをきっかけに、災害時に起こりやすいお口のトラブルや、避難生活でできる口腔ケア、防災バッグに準備しておきたい歯科用品について、大垣市旭町のおおた歯科クリニック院長、太田雅司が解説します。

 

災害時の口腔ケアとは?

災害時の口腔ケアとは、避難生活などで水や電気が十分に使えない状況でも、できる範囲で歯や歯ぐき、入れ歯などを清潔に保つことです。

災害時は歯科医院をすぐに受診できないこともあるため、普段からお口の健康を管理し、歯ブラシなどの口腔ケア用品を防災用品として準備しておくことが大切です。

特に高齢の方では、避難生活中に口腔内の清掃が不十分になることで、お口の細菌が増え、誤嚥性肺炎につながる可能性にも注意が必要です。

1. 災害時に「歯科巡回診療車」が必要とされる理由

大きな災害が起こると、歯科医院そのものが被災したり、断水や停電によって診療が難しくなったりすることがあります。

実際、2024年の能登半島地震では、珠洲市内にあった5つの歯科医院がすべて休診となりました。

その際には、福井県から歯科巡回診療車が派遣され、道の駅すずなりを拠点として約3か月間にわたり診療を行い、のべ971人の治療に対応したとされています。

こうした経験を踏まえ、石川県歯科医師会では、水や電気が十分に確保できない状況でも歯科診療を行える巡回診療車を導入しました。

今回は熊本県歯科医師会からの要請を受け、この診療車が熊本県へ派遣されることになりました。

災害が起きた直後は、食料や飲料水だけでなく、「歯科医療をどう確保するか」ということも重要になります。

2. 災害時に起こりやすい「お口のトラブル」

避難生活では、普段とは違った環境で生活することになります。

水が十分に使えなかったり、生活環境の変化によって歯磨きが十分にできなかったりすると、お口の中を清潔に保つことが難しくなります。

その結果、歯垢がたまり、むし歯や歯周病などのトラブルにつながることがあります。

また、次のようなトラブルにも注意が必要です。

・歯が痛くなる
・歯ぐきが腫れる
・詰め物や被せ物が取れる
・入れ歯が合わなくなる
・入れ歯が壊れる
・口の中が乾燥する

特に入れ歯を使用している方は、入れ歯のトラブルによって食事がしづらくなることがあります。

災害時には歯科医院をすぐに受診できない可能性があるからこそ、普段からお口の状態を整えておくことが大切です。

3. 防災バッグに「お口のケア用品」も準備しましょう

防災用品というと、水や非常食、懐中電灯などを思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、歯ブラシなどのお口のケア用品も、非常持ち出し袋に入れておきたいアイテムです。

例えば、次のようなものを準備しておくと安心です。

・歯ブラシ
・歯磨き剤
・デンタルフロスや歯間ブラシ
・洗口液
・歯磨き用ウェットシート
・入れ歯を使用している方は義歯ケースや洗浄用品

家族分をまとめて用意しておくと、いざというときにも使いやすくなります。

水が十分に使えない場合でも、できる範囲でお口の中の汚れを取り除くことが重要です。

洗口液や液体歯磨きなどは製品によって使用方法が異なるため、非常時に使用する場合も、それぞれの製品表示を確認しましょう。

災害時に備えた緊急用リュックと中身の防災グッズ(保存水、缶詰、救急セット、ライト、ラジオなど)がわかりやすく整理されたイラスト
緊急用のリュックには、歯ブラシなども入れておくと安心です。

4. 災害時の「歯磨き」はどうする?

災害などで十分な水が確保できない場合でも、口腔ケアを完全に諦める必要はありません。

まずは、手元にある歯ブラシや歯磨き用シートなどを利用して、できる範囲で歯や歯ぐきの汚れを取り除きましょう。

十分な水が使える場合には、普段通りの歯磨きを行うことが基本です。

また、入れ歯を使用している方は、入れ歯も清潔に保つことが大切です。

災害時は普段と同じケアができないこともありますが、「何もしない」のではなく、そのときにできる方法でお口を清潔に保つことを意識しましょう。

5. 「災害に強いお口」は普段の予防から

災害が起きてから歯の痛みや腫れに対処するのは大変です。

だからこそ大切なのが、普段からの予防です。

例えば、むし歯や歯周病を放置せず、定期的に歯科医院でチェックを受けておくこと。

詰め物や被せ物に問題がないか、歯ぐきに炎症がないか、入れ歯がしっかり使えているかなどを確認しておくことも、災害への備えになります。

「痛くないから大丈夫」と思っていても、むし歯や歯周病が進行していることは珍しくありません。

いざというときに困らないためにも、普段からお口の健康を維持しておきましょう。

6. 災害時の口腔ケアについてよくある質問

Q. 災害時に歯ブラシがない場合はどうすればいい?

A. 歯ブラシがない場合でも、できる範囲でお口の中を清潔に保つことが大切です。歯磨き用ウェットシートなど、手元にある口腔ケア用品を活用しましょう。

Q. 防災バッグに歯ブラシを入れておいた方がいい?

A. はい。災害時には歯科医院を受診できない場合もあるため、歯ブラシや歯磨き剤、フロスなどを防災用品として準備しておくと安心です。

Q. 入れ歯を使っている場合、災害時は何を準備すればいい?

A. 入れ歯を使用している方は、義歯ケースや洗浄用品なども準備しておくことをおすすめします。入れ歯の紛失や破損などに備え、普段から保管場所を決めておくことも大切です。

Q. 災害に備えて歯科検診を受ける意味はありますか?

A. あります。災害時には歯科医院をすぐに受診できない可能性があります。普段からむし歯や歯周病などをチェックし、必要な治療を済ませておくことは、災害時のお口のトラブルを減らすための備えにもなります。

おおた歯科クリニックからのメッセージ

災害はいつ、どこで起こるか分かりません。

災害が発生すると、歯科医院を受診できなかったり、水や電気が十分に使えなかったりすることがあります。

そのため、「災害が起きたときにどうするか」だけでなく、「災害が起きる前にお口の状態を整えておくこと」も大切な防災の一つだと考えています。

防災バッグに歯ブラシやフロス、入れ歯用品などを準備しておく。

そして、普段から定期的に歯科検診を受け、むし歯や歯周病などを放置しない。

こうした小さな準備が、いざというときのお口の健康を守ることにつながります。

「最近歯科検診を受けていない」
「歯の痛みや違和感がある」
「入れ歯の調子が気になる」

という方は、災害への備えという意味でも、一度お口の状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。

おおた歯科クリニックでは、皆様のお口の健康を長く守るため、定期検診や予防歯科にも取り組んでいます。

防災グッズを見直すこの機会に、「お口の防災」についても一度考えてみましょう。

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上記の内容は記事執筆時点の情報です。

治療法・使用材料・診療内容・治療費等は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

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